ベントナイトの猫砂は吸水性や消臭力に優れているので、キレイ好きの猫におすすめです。
ところが一方で「ベントナイトを使った猫砂は危険だから使わない方がいい」という噂を耳にしたことがあるかもしれません。
インターネットには色々な情報が出回っているので、何を信じたらいいか不安になってしまいますよね。
この記事では、ベントナイトの成分と安全性、疑惑の真相について解説します。
ベントナイトとは
ベントナイトとは、海や湖などの底に堆積した火山灰が長年にわたって浸食や風化、熱水作用を受けることで作られた、天然の粘土鉱物のことです。
ベントナイトは、水を吸収すると元の体積の何十倍にも膨らむなど様々な特徴を持っており、別名「1000の使いみちがある粘土」とも呼ばれています。
そうした特性を活かして、ベントナイトは私たちの身の回りでも幅広く使われています。
身近な例だと、高い吸水性や吸着性を活かした猫砂や、化粧品、医薬品、食品添加物などが挙げられます。
- アイライナーやマスカラ
- ヘアコンディショナーやリンス
ベントナイトは安全性が高い物質
ベントナイトは安全性が高く、かつ様々な用途に使用できる物質です。
一部では「ベントナイトは毒性があるから危険」といわれていますが、ベントナイトの毒性はとても低く、猫砂として使用するぶんには、猫への影響もありません。
上でも紹介した通り、ベントナイトは人用の食品添加物として使われたり、食べる用として販売することが認められているので、通常の使用量であれば有害性はないのです。
独立社団法人 農林水産消費安全技術センター 飼料、飼料添加物一覧
http://www.famic.go.jp/ffis/feed/sub3_fukei.html
東京都福祉保健局 「食品衛生の窓」 用途別主な食品添加物
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/seizoyozai.html
「ベントナイトは危険」が広まった理由
通常使用であれば、ベントナイトに危険性はないことが分かりました。
では、なぜ「ベントナイトは猫にとって有害」という情報が広まってしまったのでしょうか?
ベントナイト中毒を起こした猫がいるという情報があった
海外の話ですが、鉱物系の猫砂を使っていた猫がベントナイト中毒になったという情報がネット上で話題になりました。
確かにベントナイトが含まれた猫砂を大量に摂取してしまった猫が、脱水症状や低カリウム血症、倦怠感などの中毒症状を起こした事例は存在します。
しかし、それはあくまでも「大量に」摂取してしまった場合に起こることで、ただ猫砂を使っていただけで起こったわけではありません。
この猫は異食症を発症しており、食べ物以外のものを過剰に食べてしまう状態にありました。
ベントナイトは腎臓にダメージを与えると発現する業者がいる
上で紹介した海外の例を誤って解釈した業者が「ベントナイトは危険」と話してしまったことも、原因のひとつです。
これは、ベントナイトが原因で低カリウム血症が起こると猫の腎臓に障害が出やすいというもので、木系の猫砂を販売している業者がネットに掲載しました。
確かに低カリウム血症は腎臓に負担をかける病気ですが、そもそもベントナイトの猫砂を使用しても低カリウム血症を誘発することはありません。
獣医療的にも、ベントナイト猫砂の通常使用と特定の疾患については関連性がなく、海外を含め報告されたケースはないので、安心して使って大丈夫ですよ。
ベントナイトは胃や腸にこびりついて排出されないという謎の説
これについては、情報源すら分かりませんでした。
ベントナイトを使用した固まるタイプの猫砂を口にした場合、体外へは排出されず消化器官に蓄積していくという説なのでしょうか?
とはいえ、これもまったく根拠のない話なので、心配しなくても大丈夫!
念のため言っておくと、天然の粘土が主原料であるベントナイトの猫砂は、数粒口にした程度では体内に吸収されることなく排泄されるので問題はありません。
猫砂で遊んでいる拍子に口に入ってしまったり、毛づくろいで舐めとってしまっても、焦らなくて大丈夫ですよ。
猫の健康を考えるなら、むしろベントナイトがおすすめ
猫砂を選ぶ際に重要なポイントは、猫が快適に排泄を行えるかです。
なぜなら、もしも猫が現在使用している猫砂を気に入らない場合、排泄を我慢することで泌尿器系のトラブルを起こしたり、粗相の原因になってしまう可能性があるから。
その点、ベントナイトを主成分にした鉱物系の猫砂はお気に入りの猫が多く、猫砂の種類の中では、もっとも使用頻度が高いです。
また、ベントナイトを使った鉱物系の猫砂はしっかりと固まるので、汚れた部分をスコップですくいやすく、トイレを清潔な状態に保ちやすいという特徴があります。
ベントナイトを使った猫砂は粒が細かいというのも、鉱物系の猫砂をおすすめする理由のひとつです。
猫は排泄をしたあと、猫砂を排泄物にかける習性があります。これは猫が野生の頃から行っている行動で、周囲の敵に自分の存在が知られないように排泄物を隠して立ち去るというもの。
それを考慮すると、自然の砂に近い粒の細かさを持つベントナイトの猫砂を猫が好むのも、当然なのかもしれません。
いずれにしても、ベントナイトの毒性を過度に心配する必要はなく、普通に購入して大丈夫ですよ。
注意!猫砂の粉塵(ほこり)は吸い込まないで
有毒性こそ低いベントナイトですが、猫砂の粉塵(ほこり)には注意が必要です。
ベントナイトを使った猫砂の粉塵はとても細かく、人間が誤って大量に吸い込んでしまうと「ベントナイト塵肺症」を引き起こす可能性があります。
実際に、猫砂を捨てようとしたときに大量の猫砂の粉塵が空気中に舞い、肺に入って呼吸困難を起こしてしまった事例は何件かあるので、気管支が弱い人は要注意。
ちなみに、鉱物系猫砂の粉塵の形状は小さな砂粒状で、アスベストのように細い繊維状ではないので、粘膜や肺組織などにトラブルを起こす可能性は低いです。
環境省 大気環境・自動車対策 「石綿(アスベスト)って何? 石綿による健康被害って何?」
http://www.env.go.jp/air/asbestos/index4.html
粉塵がないベントナイトの猫砂を選ぼう
ここまで読んできて、ベントナイトの安全性は分かっていただけたと思います。
ベントナイトを使用した鉱物系の猫砂も、猫の健康に害を与える心配はなく、むしろ泌尿器疾患の予防になるので、ぜひ積極的に取り入れたいところ。
呼吸器へのリスクを考え、ほこりが少ない商品を選ぶ必要はありますが、それさえクリアできれば使い勝手の良い猫砂です。
なお、ベントナイトが主成分の猫砂の中には、粉塵がない(または少ない)製品も存在します。
ベントナイト塵肺症を避けるためにも、猫砂を選ぶ際には粉塵ができる限り少ない製品を選びましょう。
▼粉塵(ほこり)の少ない猫砂をピックアップしてみました
▼楽天ショップで人気のベントナイト系猫砂5選
猫が快適に排泄できる猫砂を選びましょう
猫砂を選ぶ際には、「いかに猫が快適に排泄をできるか」がとても大切なポイント。
ベントナイト「ファン」の猫は多く、ベントナイトでないとダメというこだわりのある猫もいるほど。綺麗好きな猫にとってベントナイトの高い吸水性と消臭力は、とても魅力的です。
繰り返しますが、ベントナイトは天然の鉱物であり、安全性について過度な心配は必要ありません。
泌尿器トラブルなど、猫の健康のために配慮すべき点は多々あるので、ぜひそちらに目を向けてもらえると嬉しいです。
なお、ベントナイトを主成分にした猫砂の中には粉塵が多いものがあるので、できるだけ粉塵が少ない製品を選ぶようにしてくださいね。